アナタはどれだけ知っていましたか?ニューロダイバーシティ用語集|自閉症・ADHD・学習特性まで

言葉には強い力があります。
日本では残念ながら「発達障害」という表現が多く使われています。
一方で、世界では「ニューロダイバーシティ」という考え方が広がっています。

私自身の感覚ですが、「発達障害」と呼ぶのと「ニューロダイバージェント」と呼ぶのとでは、つまり自己受容に大きな差が生まれると思います。

私は41歳のとき、セラピストから発達特性を指摘されました。
最初はショックで、その結果自分を見失うほど混乱しました。

しかし、パニック状態の私にセラピストはこう教えてくれました。
「特性は診断名がなくても存在する」
「理解すれば付き合い方の選択肢が増える」
この言葉をきっかけに、やがて私の受け止め方は変わっていきました。

もちろん、これは一つの体験談です。
ただ、言葉を知ることで経験に名前がつきます。
そのため「自分だけではなかった」と気づけるきっかけになることを願っています。

Ableism(エイブリズム/能力主義)

「障害を持つ人を価値の低い存在とする考え方があります。身体的・知的・精神的な障害を理由に差別を生む信念や慣行です。その多くは『障害者は修正されるべきだ』という前提に立っています。」

例:「車いすの人はかわいそう」「発達障害は治さなきゃいけない」といった考えが含まれます。
(出典:Center for Disability Rights


ADHD
(注意欠如・多動症

Attention Deficit Hyperactivity Disorder

ADHDとは、脳の働き方に見られる神経的な違いのひとつです。集中力やエネルギーの調整に特徴があります。また、注意の向け方や周囲の世界の受け止め方に影響します。ADHDの人は、非常に創造的で行動力があり、独特のひらめきによる問題解決が得意です。一方で、注意を長く保つことが難しい。衝動的に動きやすい。整理整頓の方法が周囲と違うこともあります。


Allistic
(アリスティック)

自閉スペクトラムではない人のこと。

アリスティックだからといって、必ずしも神経学的に定型とは限りません。自閉的でなくても、ディスレクシア(読字障害)などの形で神経の多様性を持つことがあります。その場合、その人はアリスティックでありながらニューロティピカルではありません。


Alexithymia
(アレキシサイミア/失感情症)

自分の感情を認識したり、言葉で表現したりすることが難しい状態。


AuDHD
(オーディーエイチディー)

ASD(自閉スペクトラム)ADHDの両方の特性を持っている人のこと。実際にとても多く見られる組み合わせです。

AuDHDの人は薬の作用や副作用に敏感な場合があります。
臨床ではよく見られる特徴です。近年は研究や理論による科学的な根拠も整いつつあります。

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〜ChatGPTより〜
■ 結論:科学的な根拠(仮説・研究結果)は存在しますが、まだ限定的です。
しかし、神経発達特性と薬物代謝、神経受容体の違いが薬の反応性に影響する可能性が高いことが、複数の視点から示唆されています。

■ 根拠①:神経系の過敏性(Sensory & Emotional Sensitivity)
● AuDHDの人は、以下の特徴を持つことが多い:
感覚過敏(光、音、匂い、皮膚刺激など)
情緒的な反応の強さ(不安、恐怖、混乱など)
自律神経の過剰反応(交感神経優位になりやすい)
💡このような神経の反応性の高さは、薬物の副作用や体内反応を「強く感じやすくする」可能性があります。

■ 根拠②:薬物代謝酵素の遺伝的個体差(薬物動態)
● 薬の代謝に関与する酵素(特に肝臓のCYP450系)は、発達障害傾向の人で変異が見られることがある。
例:CYP2D6、CYP3A4などの活性が高すぎたり低すぎたりすると、薬が効きすぎる/効かない/副作用が出やすいという問題が起こる。
AuDHDの人で遺伝子検査を行った際、代謝異常がみつかる率が健常群より高いという報告もあり

■ 根拠③:ドパミン・セロトニン受容体の感受性の違い
ADHD・ASDともに、ドパミン系・セロトニン系の神経伝達物質に関連する遺伝子や受容体の機能異常が報告されています。
例:DRD4、SERT(5-HTT)などの遺伝子変異
この違いが、抗精神病薬や抗うつ薬、覚醒薬への反応性に個人差を生む原因と考えられています。

■ 根拠④:臨床報告と専門家の観察
多くの精神科医、発達障害専門医が以下のように報告しています:
「通常の半量でも反応が強すぎて使えなかった」
「少量で不安定になったり、過覚醒になるケースが多い」
「減薬時にも離脱反応が出やすい」
特にSSRI、抗精神病薬、覚醒薬(コンサータなど)でこの傾向が顕著だとされています。

■ 注意点
AuDHDだから「必ず」敏感とは限りません。個人差が非常に大きいです。
薬が効きやすい人・効きにくい人・副作用だけ出やすい人など、パターンは多様です。
敏感さは身体的反応だけでなく、「認知的」「情緒的」な過敏性からくる体感の強さであることも多いです。


Autism
(自閉スペクトラム/自閉症)

脳には自然な違いがあり、それは世界の見方や感じ方、考え方、人との関わり方に影響します。
この違いは、深い集中力や創造的な問題解決力。パターン認識力、独自の人生観といった強みにつながることがあります。
また、感覚処理が敏感な人もいます。会話や音・光などへの反応が強い。コミュニケーションや社会的やり取りの方法が非自閉の人とは異なる場合もあります。

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■ 本


Autistic Burnout
(自閉スペクトラムの燃え尽き)

長いあいだ無理を続けたことによる心と体の限界状態。
エネルギー切れになり、普段できていたことができなくなり、刺激にも耐えにくくなる。

「自閉症バーンアウトは、職業性バーンアウトやうつ病とは異なる現象です。
深く理解することは、認識・緩和・予防につながります。
特性を隠すカモフラージュを教える危険性を示すこと。自殺予防プログラムにバーンアウト教育を加えることも重要です。
また、これらは、自閉症や障害に関する差別やスティグマを減らす必要性を明確にしています。」(Raymakerら、2020年)」


Executive Functioning
(実行機能)

予定を立てたり、集中したり、物事を始めたり終わらせたりするときに使う「頭の中のスキル」。
記憶力や我慢する力も含まれます。


Identity First Language
(アイデンティティ優先言語)

「自閉症の人(an autistic person)」のように、その人の特性を先に言う言い方。
アメリカでは多くの当事者は、自分の大切な一部としてこの言い方を好む。


Interoception
(内受容感覚)

「お腹がすいた」「眠い」「心臓がドキドキしている」「痛い」など、自分の体の内側の感覚に気づく力。


Intersectionality
(交差性)

性別、人種、階級、セクシュアリティ、宗教、障害、外見などのアイデンティティは交差します。
その交差が差別や特別扱いを生むことを説明する枠組みが「インターセクショナリティ」です。


Masking
(マスキング)

社会で受け入れられるために特性を隠し、「普通に見えるようにふるまうこと」を指します。
一時的には安全に役立ってしまう。

ただ、続けると心の疲労を招き、自閉スペクトラムのバーンアウトにつながる。


Meltdown
(メルトダウン)

感覚や感情の限界を超えると、本人の意思では行動を制御できなくなります。
そのとき、大声を出したり泣いたり、自傷や強いスティミング。他者への攻撃のように見える行動が出ることがあります。
「わざと」でも「利益を得ようとしている」のでもなく、過負荷に対する自然な反応です。


Monotropism
(モノトロピズム/単一焦点思考)

特定のテーマに強い関心をもち、一度にひとつのことへ深く集中し続ける傾向があります。
たとえば「電車」や「恐竜」といった対象に、安心感や楽しさを見いだすことがあります。


Neurodivergent
(ニューロダイバージェント)

脳の働き方や感じ方が社会で「典型的」とされるものとは異なる人々。
たとえば自閉症、ADHD、学習障がいをもつ人などを含め、多様なあり方をもつ人。


Neurodiverse
(ニューロダイバース)

互いに異なる神経タイプを持つ二人以上の人々の集まりを指します。
この用語はしばしば誤って個人に使われます(→ニューロダイバージェント参照)。


Neurodiversity
(神経多様性)

人間の脳や神経系には、もともと多様なあり方が存在します。
それは生物多様性と同じように尊重されるべきものです。
この考え方を「神経的な多様性(ニューロダイバーシティ)」と呼びます。


Neurodiversity Movement
(神経多様性運動)

神経多様な人々の権利を守り、社会的な包摂を進めることを目的とした社会運動です。
脳や神経の違いを「病気」や「治すべき問題」とみなさない。
人が本来持つ「自然で大切な個性」として尊重し、受け入れることを目指しています。


Neurodiversity Paradigm
(神経多様性パラダイム)

脳や神経のちがいを「欠陥」や「異常」とみなさない。
人類に本来備わる自然な多様性として尊重する考え方。
この多様性は、人種・ジェンダー・宗教・階級の違いと同じ。
社会的な影響を受けるものとして理解されます。


Neuronormativity
(ニューロノーマティビティ/神経規範主義)

社会には「こうあるべき」という基準や理想が存在します。
それは思考や感情、ふるまい、コミュニケーション、遊び方、行動などに及びます。
こうした基準に合わない人は「変わっている」と見なされがちです。
しかしそれは、実際には多様な在り方を制限してしまう考え方です。


Neuromajority
(ニューロマジョリティ/神経的多数派)

社会において「正常」または「典型的」と見なされる形で脳が機能し、情報を処理する人々。


Neurominority
(ニューロマイノリティ/神経的少数派)

社会の基準で「普通」とされない少数派の脳のタイプを持つ人々を指します。
彼らは独自の方法で脳が働き、情報を処理しています。


Neurotype
(ニューロタイプ)

個人のアイデンティティの一部であり、脳がどのように働き、情報を処理するかを指す用語。
例:自閉スペクトラム、ニューロティピカルなど。


Neurotypical
(ニューロティピカル/神経学的定型)

神経的に多様ではなく、社会的に「ふつう」とされる脳の働き方を持つ人を指し、非自閉症(オーリスティック)を含みつつさらに広い意味を持ちます。


Pathological Demand Avoidance
(PDA/病的要求回避・持続的な自律性の追求)


もしくは
Persistent Drive for Autonomy

自閉症の一つのタイプ。
「命令される」「支配される」といった状況に強く反応する特徴があります。
そのため、自分の自由や自主性をとても大切にする傾向があります。


Person First Language
(人間優先言語)

「ADHDの人」ではなく「ADHDを持つ人」のように、「人」であることを先に言う言い方。一部の人はこちらを好みますが、当事者の希望に合わせるのが大切です。


Proprioception
(固有受容感覚)

自分の体が「どこにあって」「どう動いているか」を感じる力。たとえば、目を閉じても自分の手の位置がわかる感覚です。


Rejection Sensitive Dysphoria
(RSD/拒絶過敏性障害)

拒絶や批判を受けたと感じたときに、心が強く傷つきやすい状態です。
また、期待に応えられなかったときに、不安や落ち込みを感じやすくなる特徴もあります。


Special Interest
(特別な興味)

自閉スペクトラムの人には、特定の対象に強く集中する傾向があります。
それは一時的な場合もあれば長期に続くこともあります。
また、一般的な趣味より強い関心として現れます。
安心感や充実感を得ながら、長時間没頭することもあります。


Stimming
(スティミング/自己刺激行動)

体を落ち着かせたり感覚を整えたりするために行われます。
繰り返しの動きや音、言葉、物の操作を指します。
たとえば「手をパタパタさせる」「うなる」といった行動が含まれます。

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